【内(うち)平(たいら)かに外(そと)成(な)る】と訓読みされまして、家の中は穏やかで、世間も平和で安定しているという意味の四字熟語です。
さらに国内が平和で、他国との関係もうまくいっているという意味でもあります。
1989年の今日、1月8日から元号が【平成】になりました。今年で25年目です。
【平成】の典拠となったのは、中国古典である『書経』の【地平天成】、と『春秋左氏伝』・『史記』の
【内平外成】に基づくと言われています。
1)『書経』大禹謨(ダイウボ)
帝(舜:シュン)が(臣下の禹:ウ)に言いました
地平らぎ天成り、
(今や洪水が治まって)国土も平静に自然(の運行)も順調であり、
六府(リクフ)・三事(サンジ)允(まこと)に治(おさ)まり、
(その結果)六府・三事も誠に(よく)治まり、
萬世(バンセイ)永く頼るは、
(これからのち)万世も永く頼る(ことができる)が、
時(こ)れ乃(なんじ)の功なり。
これは(まったく)なんじの功績である。
2)『春秋左氏伝』文公十八年の記述の中で、昔話として舜の功績を讃えている文章です。
時に序(ジョ)せざること莫(な)く、地平(たいら)かに天成る。
万事は順当に運び、天地は平静になりました。
八元(ハチゲン)を挙(あ)げ、五教を四方に布(し)かしむ。
また八元を登用し、四方の国々に五教を宣布(センプ)せしめると、
父は義、母は慈、兄は友、弟は恭、子は孝にして、
父は義に、母は慈に、兄は友に、弟は恭(キョウ)に、子は孝になり、
内平かに外成る。
内外は平静になりました。
3)『史記』五帝本紀は、『春秋左氏伝』とほとんど同じ記述です。
時に序(ジョ)せざること莫(な)し。
八元(ハチゲン)を挙(あ)げ、五教を四方に布(し)かしむ。
父は義、母は慈、兄は友、弟は恭、子は孝にして、
内平かに外成る。
明治・大正・昭和も中国古典を典拠にしていました。
明治 【易経】 「聖人南面して天下を聴き、明に嚮(むか)いて治む」。
聖人が南面して政治 を行えば、天下は明るい方向に向かって治まる。
大正 【易経】 「大いに亨(とほ)りて、以て正しきは、天の道なり」 。
天の徳が支障なくゆきわたり、政が正しく行われるという意味です。
昭和 【書経】 「百姓昭明、協和万邦」。 『今日の四字熟語 No.402 百姓昭明』を一読下さい。
人々が、それぞれ徳を明らかにすれば、世界の共存繁栄がはかられる。