【春色(シュクショク)人を悩まして眠り得(え)ず】と読みまして、
春の景色は人をあれこれと物思いにふけらせて眠りつくことができない、という意味です。
王安石の詩「夜直」の転句です。
金爐香尽漏声残
金炉(キンロ)の香(コウ)尽(つ)き漏声(ロウセイ)残(ザン)す
金の香炉の香も尽きて、時を伝える響きも弱弱しくなってきた。
翦翦軽風陣陣寒
翦翦(センセン)の軽風(ケイフウ) 陣陣(ジンジン)の寒(さむ)さ
さらさらと微風がわたってき、そのたびごとにうすら寒さが感じられる
春色悩人眠不得
春色(シュクショク)人(ひと)を悩(なや)まして眠(ねむ)り得(え)ず
春景色は人をあれこれと物思いにふけらせて眠りつくことができない
月移花影上欄干
月(つき)は花影(カエイ)を移(うつ)して欄干(ランカン)に上(のぼ)らしむ
月に映し出された花の影が、欄干にまで上ってきた。