【小人は財に殉(ジュン)ず】と読みまして、
修養のない者は自分の生命を犠牲にしてまでも財利を求める、という意味で『荘子』盗跖篇に見える言葉です。
小人殉財、君子殉名、
小人は財に殉じ、君子は名に殉ず。
小人は財貨のために身を亡ぼし、君子は名のために身を犠牲にする。
其所以変其情、易其性、則異矣、
其れ其の情を変じて其の性を易(か)うる所以(ゆえん)は則ち異なれり。
その自然な人情を改めて本性を取りかえるやり方は、(小人と君子とで)それぞれに
違っているが、
乃至於棄其所為、而殉其所不為、則一也、
乃(され)ど其の為すべきを棄てて、其の為さざるべきに殉じるに至りては、則ち一なり。
しかしその本来なすべきことを捨てて、しなくともよいことに身をすり減らしている点では
同じことだ。