注意を怠れば必ず失敗するから警戒しなさい。という戒めの四字熟語です。
【油断】と言う熟語の語源はいろいろありますが、その中の一つとしまして、『涅槃経:ネハンキョウ』に根拠を求める説があります。
『北本(ホクホン)涅槃経』に次の記載があります。
王勅一臣、 王、一臣に勅す、
王様が、家臣に命じました
持一【油鉢】経由中過、 一油鉢(イチユハツ)を持ち、由中(ユチュウ:繁華街)を経て過ぎよ、
油鉢を持って、繁華街を歩き
莫令傾覆、 傾覆(ケイフク:かたむけくつがえす。こぼすこと)することなかれ
こぼさないで行け
若棄一滴当【断】汝命 もし一滴を棄せば、まさに汝の命を断つべし
もしも一滴でも油をこぼしたら、お前の命を断つ
油鉢というのは、油を入れた鉢のことで、この鉢に油をいっぱい入れて、それをこぼさずに持ち歩くことの難しさから、
【油断】と言うのは、仏道修行を継続することの困難さを譬えるのに使われた言葉と言われています。
【大敵】は、大きな敵として警戒すべきだということです。
結局【油断大敵】は失敗しないように、常に注意していなさいと、言う意味になります。
語源については勿論一つの説です。他の説もあります。
慣用句としまして、【油断大敵 火がぼうぼう】というのがあります。
油断していると、火がボウボウと燃え広がるから注意しなさい、と思っている方が多いと思いますが、
違います。
「油断大敵、火が亡々」と書きまして、
油を断つと火が消えてしまいますので、絶やさないようにしましょう、と言うのが正解です。