【端倪(タンゲイ)すべからず】と読みまして、測り知れないという意味です。
【端】は、はじめ、【倪】は、はしで。【端倪】は、①事の始めと終わり、②測り知ること の意味となります。
韓愈の『高閑上人を送る序』の中で、唐代随一の草書家である張旭(チョウキョク)を讃えた文章の中に出てきます
天地事物之變、可喜可愕、一寓于書。
天地事物の変、喜ぶべく愕くべきを見て、一にして書に寓す。
天地の事物の変化など、喜ぶべきことや驚くべきことを見ては、その全てを書に表現した。
故旭之書變動猶鬼神、不可端倪。
故に旭の書、變動すること 猶(な)ほ鬼神のごとくして、端倪すべからず。
そのため張旭の書の筆の動きは、霊魂や神々と同様に、測り知れないのである。
以此終其身而名後世。
此(ここ)を以て、其の身を終ふれども後世に名あり。
このため張旭はその身は死んでも、後世に名を残すようになったのである。