【國(くに)大(ダイ)なりと雖(いえど)も、戰いを好まば必ず亡ぶ】と読みまして、どんなに大国でも、好戦的な国は必ず滅びる、という意味です。
さらに続けて、どんなに平和な時代でも、戦争に備えていない国は必ず危うくなる、と言っています。
出典は『司馬法』司馬穰苴(シバジョウショ)著です。
『司馬法』は、中国の秦代に司馬穰苴(シバジョウショ)によって書かれたとされる兵法書です。
『武経七書』の一つと言われています。司馬という名称は周代の軍部をつかさどる官名で、それが後に姓名になったそうです。
『部経七書』は、『孫子』・『呉子』・『尉繚子』・『六韜』・『三略』・『司馬法』・『李衛公問対』です。
戰道、不違時、
戦(いくさ)の道は時に違(たが)えず、
戦争の道理はその時々の状況に合わせたもので、
不歴民病,所以愛吾民也。
民の病(うれい)を歴(へ)ず。吾が民を愛する所以(ゆえん)なり。
民衆が憂えるような状況の後に行われるものではありません。
民衆を愛すればこそそういえるのです。
不加喪,不因凶,所以愛夫其民也。
喪を加えず、凶に因(よ)らず、夫(か)の其の民を愛する所以なり。
戦争は君主の親族の葬儀によって行われるものでもなければ、
凶作によってやむなく行われるものでもないのです。
これも民衆を愛するからこそなのです。
冬夏不興師,所以兼愛民也。
冬・夏 師(いくさ)を興(おこ)さず、民を兼愛(けんあい)する所以なり。
冬と夏は戦争を起こすことはないのです。民衆を等しく愛すればこそ、そう言えるのです。
故國雖大,好戰必亡。
故に国は大なりと雖も、戦を好めば必ず亡(ほろ)ぶ。
ですから、たとえ国が大きいとしても、その国が戦争を好めば必ず滅びてしまい、
天下雖安,忘戰必危。
天下は安らかなりと雖も,戦を忘るれば必ず危うし。
たとえ国が今は安泰だったとしても、戦争が起きることを忘れてしまったら、
その国を危険にさらすことになるのです。