生かすも殺すも、与えることも奪うことも、自分の思いどおりになることを表す四字熟語です。
【生殺与奪の権】という言い方で使われます。
【生殺与奪】と言う形ではありませんが、【殺生與奪】という言葉で『荀子:ジュンシ』王制篇にでています。
故(ゆえ)に喪祭・朝聘(チョウヘイ)・師旅は、一(イツ)なり。
故に喪礼・祭式・朝覲(チョウキン)・聘問(ヘイモン)・師団・旅団の儀式制度は、
形は異なっても根本は一つである。
貴賤・【殺生・與奪】は、一なり。
身分の上げ下げや、【殺と生、與と奪】という、全く反対な社会上の大規制も根本は一つである
君は君、臣は臣、父は父、子は子、兄は兄、弟は弟たるは、一なり。
君は君として、臣は臣として、父は父として、子は子として、兄は兄として、弟は弟としての
分を守ってゆくのもその精神は同一であり、
農は農、士は士、工は工、商は商たるは、一なり。
農夫は農夫として、士人は士人として、工人は工人として、商人は商人として、
職業を守っていくのも根本精神は一つである。
『韓非子』八説篇では
【生殺】の柄(ヘイ:権力)、大臣に在りて、而(しか)も主命行(おこな)はるるを得(う)る者は、
未だかって有らざるなり。
生かす殺すの権力が大臣に握られているならば、それでも君主の命令が
行われるということは、決してないであろう。
古代中国の戦国時代、「人の命」は支配者に握られていたようです。