【玉(たま)を食(く)らい桂(ケイ)を炊(かし)ぐ】と読みまして、物価の高い他国や都会で生活する苦しさをいいます。
出典は『戦国策』楚策です。
合従の策を主張した蘇秦が楚に遊説に行き、三ヶ月もたってからようやく威王に面会できました。
面談を終わるや蘇秦はさっさと楚を去ろうとしました。
威王がそのわけを尋ねました。それに対して蘇秦の答えた言葉です。
楚國之食、貴於玉,薪貴於桂。
楚国の食は玉よりも貴く,薪は桂よりも貴し。
楚国の食物は玉(宝石)よりも高く,薪(たきぎ)は桂よりも高く,
謁者難得見如鬼、
謁者(エツシャ)の見るを得難(えがた)きこと鬼(キ)の如く,
(お目見えを希望する者が)取りつぐ謁者に会う困難さは鬼に会うほど困難で,
王難得見如天帝。
王の見ゆるを得難きこと天帝の如し。
王にお目にかかる困難さと言えば天帝にお逢いする位、困難です。
今令臣食玉炊桂、
今、臣をして玉を食らひ、桂を炊(かし)ぎ,
今、私に玉を食べ桂を燃やして炊事し,
因鬼見帝、
鬼に因りて帝に見え令むるも、
鬼を取りつぎにして天帝に謁見せよと命じられても、
其可得乎。
其れ得べけんや、と。
それは可能なことでしょうか(とても無理です)。