其の書物を読んで、その作者のことを知らないでよいものだろうか。だから、さらに進んでその作者の活動した時代にも踏み込んでいかなければならない。それが遡って古人を友とするという事です。
書物を通じて、作者と友となるのは喜ばしいことである。
『孟子』の萬章(バンショウ)章句上篇に出ています。「萬章」というのは孟子のお弟子さんの名前です。そもそも『孟子』という書物は、中国戦国時代の中頃、孟子(孟軻)が弟子の萬章や公孫丑(コウソンチュウ)等と一緒に、諸侯、門人との問答・討論を編集して後世に伝え残そうとして作られたものです。
【其の書を読むも、其の人を知らずして可ならんや。】は孟子が萬章に説いた言葉の中に出てきます。
そのなかから『読書尚友』の四字熟語も作られました。
頌其詩、讀其書、
其の詩を頌(ショウ)し、其の書を読むも、
古人の作った詩を吟じ、その著わした書物を読んでも、
不知其人、可乎。
其の人を知らずして可ならんや。
その作者の人物を知らないでよいものだろうか。
是以論其世也、是尚友也。
是(こ)の以(ゆえ)に其の世を論ず、是れ尚友なり。
だから、さらに進んでその古人の活躍した時代を研究していかなければならない、
これがつまり『尚友』、すなわち『さかのぼって古人を友達とする』ということなのだ。
10月27日~11月9日は読書週間です。
1948年(昭和23年)から、「文化の日」にまたがる2週間を『読書週間』としたそうです。