【成功の下(もと)には、久しく處(お)るべからず】と読みまして、
成功して長い間富貴の地位にいると、他人からうらみやそねみを受けて、災いを受けやすくなるので、
いつまでもその地位にとどまっていてはならない、という意味です。
出典は『史記』蔡沢(サイタク)伝です。
戦国時代、諸国を遊説して仕官を求めていた蔡沢が、秦の宰相応侯に、いつまでも高い地位にとどまっていることが身を滅ぼすもとになることを述べ、早く立派な後任を得て隠退するようにすすめた時の言葉に
基づいています。
秦の望む處は達成され、あなたの功業は極まったのです。
この時こそ、また、秦が気長に少しづつ勝を収めるべき時なのです。
こういった時に隠退なされなければ、商君・白起・呉起・大夫種と同類になります。
吾聞之、鑒於水者、見面之容、
吾之を聞く、水に鑒(かんが)みる者は、面(かお)の容(かたち)を見、
私は、こんなふうに聞いています、
水を鏡とする者は、自分の容貌を見て、
鑒於人者、知吉與凶。
人に鑒みる者は、吉と凶とを知る。
人を鏡とする者は、自分の吉凶を知る。
書曰、成功之下、不可久處。
書に曰く、成功の下には、久しく處るべからず。
書には、成功して長い間その地位にいると、他人からうらみやそねみを受けて、
災いを受けやすくなるので、いつまでもその地位にとどまっていてはならない、とあります。