白居易の詩『王十八(オウジュウハチ)の山に帰るを送り、仙遊寺(センユウジ)に寄題す』の中の一句です。
林の中で紅葉を集めてたき火をし、程よく燗をして酒を飲む。秋の風流な楽しみ方です。
曾於太白峯前住
曽(かっ)て太白(タイハク)峰前(ホウゼン)に住(ジュウ)し
かつて太白峰の麓に住み、
數到仙遊寺裏來
数(しばしば)仙遊寺(センユウジ)裏に到りて来る
しばしば仙遊寺まで行ったものだ
黒水澄時潭底出
黒水澄める時 潭底(タンテイ)出で
黒水が澄んでいる時は、潭(ふち)の底まで見え、
白雲破處洞門開
白雲破るる処 洞門開く
白雲が途切れれば、洞門が開いた
林間煖酒燒紅葉
林間に酒を煖めて紅葉を焼き
林間酒を温めるために紅葉を焼き、
石上題詩掃緑苔
石上に詩を題して緑苔(リョクタイ)を掃(はら)ふ
石の上に、緑の苔を掃って詩を書いた。
惆悵旧遊無復到
惆悵(チュウチョウ)す 旧遊(キュウユウ)復(ま)た到る無きを
かなしいかな、旧遊の地を再び踏めないこと。
菊花時節羨君廻
菊花の時節 君が廻(かへ)るを羨(うらや)む
菊の咲くこの時節、山に帰る君が羨ましい。