【人生意を得(え)ば須(すべか)らく歡(カン)を盡(つ)くすべし】と読みまして、
人生、思いのままにふるまえる時には、歓楽を尽くすべきだ、という意味です。
盛唐の詩人李白が、
人生は無常なものであるから、心にかなったことがあったら酒を飲んで歓楽を尽くすべきだ。
黄金づくりの酒樽を、お月様の前に置きっぱなしにして、飲まずにおく手はないものだ、と
豪快にうたっています。
出典は李白の『將進酒』七言古詩です。長い詩ですので初句から六句までを記載します。
君不見黃河之水天上來、
君見ずや黄河の水天上より来たるを、
君も知っているだろう、黄河が天から流れくるのを、
奔流到海不復回。
奔流海に到りて復(また)回(かえ)らず。
奔流は海に注いで、戻りはしない。
君不見高堂明鏡悲白髪、
君見ずや高堂の明鏡白髪を悲しむを、
君も知っているだろう、豪邸の鏡が白髪を映して悲しむのを、
朝如靑糸暮成雪。
朝(あした)には青糸(セイシ)の如くも暮(くれ)には雪となる。
朝にはみどりの黒髪が、夕暮れには雪の白さに変わっている。
人生得意須盡歡、
人生意を得ば須(すべか)らく歓(カン
人生、思いのままにふるまえる時には、歓楽を尽くすべきだ、
莫使金尊空對月。
金尊をして空(むな)しく月に対せしむる莫(なか)れ。
黄金づくりの酒樽を、お月様の前に置きっぱなしにして、飲まずにおく手はないものだ。