【明哲(メイテツ)身(み)を保(たも)つ】と訓読みされます。
聡明で道理に明るい人は、危険を避け身の処し方を誤らない、と言うことを表す四字熟語です。
また、本来の意味とは違った「保身」の意味で理解されることが多いようです。
すなわち、自分の身の安全だけを考え、要領よく生きるという意味です。
出典は『詩経』大雅・蕩之什・丞民(ジョウミン:庶民の意味)です。
周の宣王(センオウ:B.C.827~B.C.782)に仕えた仲山甫(チュウザンホ)が、王に命じられて齊に城を築きに行き、速やかに帰って来ることを望んで作られた詩です。
仲山甫は魯の献公(ケンコウ)の子で、前8世紀前半に周の宣王に用いられ、周王朝中興の臣といわれました。
「丞民」の詩は、4言×64句の長い詩です。 【明哲保身】のところを記載します。
25) 粛々王命 厳正なる王命を かしこき王のご命令
26) 仲山甫將之 仲山甫は之(これ)を將(おこな)ふ 仲山甫がこれを為し
27) 邦國若否 邦国(ほうこく)の若否(ジャクヒ) 国々の善し悪しは
28) 仲山甫明之 仲山甫之れ明らかにす 仲山甫がこれを明らかに
29) 既明且哲 既に明にして且つ哲なり 明らかにまたさとく
30) 以保其身 以て其の身を保つ よくその身をあやまたず
31) 夙夜匪解 夙夜(シュクヤ)解(おこた)らず 朝な夕なにおこたらず
32) 以事一人 以て一人に事(つか)ふ 王一人に仕えます
「王」を我々国民に置き換えますと、『仲山甫』は国民に仕える「国家公務員」にあたります。
29)~32)は公僕たる者たちの心構えを言ったものです。
霞が関に巣くう「国家公務員」たち、『王一人に仕えます』の精神で、身を粉にして励みなさい。
努々、省益や現代風【保身】に汲々とすること無く、本来の【明哲保身】に帰ること。
上から目線で言いました。
あくまでも、霞が関にいる「国家公務員」たちに対してです。
現業で日夜ご苦労されている、公務員の皆さまには、お礼を言います。