【持(ジ)してこれを盈(み)たすは、その已(や)むるに如(し)かず。】と読みまして、
直訳は、いつまでも器をいっぱいにして満たし続けようとするのは、やめたほうがよい、です。
『老子』9章にある一文です。
仕事をやりとげたなら、さっさと身をひいて引退する、それが天の道、すなわち自然のはこび方というものだ。身の引きどきを示しています。
持而盈之、不如其已。
持してこれを盈たすは、その已むるに如(し)かず。
いつまでも器をいっぱいにして満たし続けようとするのは、やめたほうがよい。
揣而鋭之、不可長保。
揣(きた)えてこれを鋭くするは、長く保つべからず。
鍛えに鍛えて刃先を鋭くしたものは、そのままで長く保てるわけはない。
金玉滿堂、莫之能守。
金玉(キンギョク)堂に満つるは、これを能(よ)く守る莫(な)し。
金銀宝石が家中いっぱいにあるというのは、とても守り切れるものではない。
富貴而驕、自遺其咎。
富貴にして驕(おご)るは、自らその咎(とが)を遺(のこ)す。
財産と地位ができて頭(ズ)が高くなると、自分で破滅をまねくことになる。
功遂身退、天之道。
功遂(と)げて身の退(しりぞ)くは、天の道なり。
仕事をやり遂げたなら、さっさと身を引いて引退する。
それが天の道、すなわち自然のはこび方というものだ。