人の人たる所以の特徴は何であろうか。荀子からの問いかけです。
答えは、「辨別能力」がある、ということです。
「弁別能力」と言いますのは、心の働きである、知覚、辨別、思慮、選択、判断の作用、能力を指すそうです。新釈漢文大系『荀子』上・非相篇より。
人之所以爲人者何已也。
人の人たる所以の者は何ぞや。
人の人たる所以の特徴は何であろうか。
曰、以其有辨也。
曰く、其の辨有るを以てなり。
それは弁別能力があるという事です。
飢而欲食、
飢えて食を欲し
すなわち、飢えては食物を欲し、
寒而欲暖、
寒(こご)えて暖を欲し、
寒くては暖熱を欲し
勞而欲息、
勞(ロウ)して息(ソク)を欲し
疲れては休息を欲し
好利而惡害、
利を好んで害を惡むは、
福利を好んで危害を悪(にく)む
是人之所生而有也、
是れ人の生れながらにして有る所なり、
これはみな、人が生まれながらに有する本性であり、
是無待而然者也、
是れ待つこと無くして然る者なり、
これは、人為を待たずに自然にそうなるものであり、
是禹桀之所同也。
是れ禹・桀の同じき所なり。
これは、聖人禹王も小人桀王も同一のものである。