【寸鉄(スンテツ)人を殺す】と読みまして、
短くて適切な言葉で、相手の急所や弱点を指摘することを言います。
また、急所を突けば、短い刃物でも人を殺すことが出来るという意味にも使われます。
出典は『鶴林玉露』です。
宋の宗景が禪を論じました。
人を殺すような場合、多くの兵器を車に載せて行き、
一つずつその兵器を取り出して使うのは、有効な手段ではない。
一つの小さな刃物で人を殺すべきだ。
これに対して朱子が、
孔子の弟子の曽子が身を慎み守ることの堅実さこそ、まさに寸鉄人を殺すものである。
と、評した故事です。
若子貢之多聞、弄一車之兵器者也。
子貢の多聞の若きは、一車の兵器を弄する者なり。
子貢のような博識は、多くの兵器を弄(いじ)くり回しているようなものだ。
曾子之守約、寸鉄殺人者也。
曾子の守約は、寸鉄殺人を殺す者なり。
曾子が身を愼み守ることの堅実さこそ、寸鉄人を殺すものである。