珍しい物や、無駄と思われるようなものに熱中し、本来の志を見失ってしまうことを表す四字熟語です。
【物を玩(もてあそ)べば、志を喪(うしな)ふ】と訓読みされます。
周の武王が殷を滅ぼし、他国からの珍しい贈り物に心を奪われ、国政をおろそかにしていることを召公が諫めたという故事によります。出典は『書経』旅獒(リョゴウ)篇です。
B.C.1051年に、周の武王は兵を起こして殷を滅ぼしました。
西方の「旅」と言う国が「獒:ゴウ」という一頭の大きな犬を献上しました。
武王はとても喜び、獒に心を奪われ政治が疎(おろそ)かになりました。
太保(王の補佐役)の召公(ショウコウ)は旅獒篇を作って武王を諫めました。
王が徳を慎めば、四方の異民族はすべて帰服します。
遠い近いの区別なく、その地方の貢物(みつぎもの)を献上してきます。
貢物は同姓の国々に分け与えなさい。
身分の高い者も、低い者も侮(あなど)ってはいけません。
耳や目の欲望にくらまされてはいけません。
人を玩(もてあそ)べば徳を喪(うしな)ひ、【物を玩べば志を喪ふ】。
玩人喪徳、【玩物喪志】。
人をいい加減に扱えば徳をだめにし、【物を遊び半分に扱えば志を無くします】。
この旅獒篇の最後の方に
細行を矜(つつし)まざれば、終(つい)に大徳を累(わずら)はす。
不矜細行、終累大徳
小さな行ないも慎重にしなければ、ついには大きな徳をそこなうことになります。
山を爲(つく)ること九仞(キュウジン)、功(コウ)一簣(イッキ)に虧(か)く。
爲山九仞、功虧一簣。
山を作るのに九仞の高さになっても、最後の一畚(もっこ)をやめれば、仕事は出来あがりません。
仞は周の尺度で8尺。周代の1尺は約22.5㎝ですから、九仞は16.2mです。
ほぼ5階建てのビルに相当する高さです。
【九仞の功を、一簣に虧く】が出ていました。
いずれにしましても古代中国には、役に立つ言葉が沢山あります。
近隣諸国に迷惑ばかりかけ、尚且つ『賄賂王国』とまで言われている現中国、
今からでも遅くないから、先人に学び心を入れ替えたほうが、いいんじゃないでしょうか。
まわりは皆、迷惑をしてますので。