【氷炭(ヒョウタン)、相(あい)愛す】と読みまして、
氷と炭は、一緒になった時、氷は水となり、その水が火を消して炭をもとの形にもどし、お互いにその本来の姿に落ちつく、という意味です。両者が互いに愛し合うと、喩えたようです。
出典は『淮南子』説山(セツザン)訓です。
天下莫相憎於膠漆、
天下に膠漆(コウシツ)よりも相憎(あいにく)むは莫(な)くして、
この世の中で膠(にかわ)と漆(うるし)ほど憎みあっているものはなく、
而莫相愛於冰炭。
氷炭(ヒョウタン)よりも相愛するは莫(な)し。
氷と炭よりも相愛するものはない。
膠漆相賊、冰炭相息也。
膠漆相賊(あいそこな)ひ、氷炭相息(あいいこ)ふ。
膠漆は憎み合い、氷炭は息(いこ)い合う。
冰得炭則歸水、復其性。
氷、炭を得れば則ち水に帰し、其性に復(か)える。
氷、炭にであえば水になり、本来に戻る。
炭得冰則保其炭。
炭、氷を得れば則ち其炭を保つ
炭、氷にであえば、炭のまま。
故曰相愛。
故に相愛すと曰く。