【人の心は譬(たと)へば槃水(バンスイ)の如し】と読みまして、
正しい筋道で心を導き、清明な態度で心を調整し、外界の事物に誘われて傾くことがなかったならば、十分に物の良しあしを定め、疑問を決断することができる。『荀子』解蔽篇にあることばです。
人心譬如槃水。
人の心は譬へば槃水の如し。
人の心はあたかも水盤の水のようなものである。
正錯而勿動、
正錯(セイソ)して動かすこと勿ければ、
即ち水は正しく置いて動かさなければ、
則湛濁在下、而淸明在上、
則ち湛濁(チンダク)下(しも)に在りて、淸明(セイメイ)上(かみ)に在り、
泥滓(どろかす)は底に沈んで、表面は清澄になり、
則足以見鬚眉、而察理矣。
則ち以て鬚眉(シュビ)を見、理を察するに足る。
十分にヒゲや眉を写し見、肌のキメさえ見分けることができる。