【禽(キン)も困(くる)しめば車を覆(くつが)えす】と読みます。
弱い者でも追い詰められて必死になって暴れると、車をひっくり返すほどの大きな力を出すことのたとえです。出典は『戰國策』「韓策」です。
中国は戦国時代、秦が楚と組んで韓を再度攻めようとした時、漢の宰相:公仲侈(コウチュウシ)が遊説家の蘇代(ソダイ)を秦に差し向けて、秦の大臣:向壽(ショウジュ)に言わせました。
爲公仲謂向壽曰、
(韓の)公仲、向壽に謂はしめて曰く、
韓の公仲は(蘇代を派遣して)、向壽に次のように言わせた。
禽困覆車。
禽も困(くる)しめば車を覆(くつが)えす。
獣も追い詰められると、狩猟者の車を覆(くつが)えすものです。
公破韓辱公仲。
公(向壽)、韓を破って公仲を辱(はづか)しむ。
公(向壽)には、韓を破って公仲を辱(はづか)しめられました。
(実は)公仲は、(辱められながらも)韓をまとめて秦に仕え、秦から封じてもらえると思ってました。
ところが、いままた再び韓を攻めようとなさってます。
おそらく韓は滅びるでしょう。そうなれば、公仲は自ら手勢を引き連れて、あなたを秦の国で
殺します。