【干戈(カンカ)を倒載(トウサイ)す】と訓読されまして、二度と戦争はしない、という強い意思表示の言葉です。
出典は『禮記』樂記篇です。
中國周の武王が殷の紂王を牧野の戦いで破り、帰國に際し、武器を逆さまにして車に載せ、
刃を虎の皮で覆って、二度と戦いをしないことを示しました。
濟河而西、
河を濟(わた)りて西し、
川を渡って帰るとき
馬散之華山之陽,而弗復乘;
馬は華山の陽(みなみ)に散(はな)ち、復(ふたた)び乘らず
馬を放って、軍馬としない、
牛散之桃林之野,而弗復服。
牛は桃林の野に散ち、復び服(つけ)ず。
牛は野に返して、軍用にせず
車甲釁而藏之府庫,而弗復用。
車甲は釁(ちぬり儀式を)し、府庫に藏(おさ)めて、復び用いず。
戦車はお祓いをして、倉庫に収めて二度と用いない。
倒載干戈,包之以虎皮。
干戈を倒載し,之を包むに、虎皮を以てす。
干(たて)や戈(ほこ)を後ろ向きにのせ、刃を虎の皮に包んだ。
將帥之士,使為諸侯。
將帥(ショウスイ)の士は、諸侯と為(な)らしむ。
将軍たちの部下であった士を賞して、諸侯とした。
名之曰建櫜。
之を名づけて建櫜(ケンコウ)と曰(い)ふ。
以上の処置を名付けて建櫜(戰を止めること)と言った。