【名声(メイセイ)実(ジツ)に過(す)ぐ】と訓読みされます。評判が実際以上であることをいう四字熟語です。
【名声】は、評判、名誉、ほまれ、の意味です。
【過】は、超える、超過するの意味となります。
【実】は、実体、実質、実際のいみです。
『史記』韓信(カンシン)・盧綰(ロワン)列伝の「陳豨(チンキ)伝賛」の中で【名声過実】の四字熟語が使われています。
「伝賛:デンサン」といいますのは、史書などの中で、ある人物の伝記の後に書き添える評論をいいます。
陳豨と言う人について、司馬遷は次のような伝賛を残しています。
陳豨は梁の人で、若いころしばしば魏の公子・信陵君を称え慕った。
将軍として辺境を守るに及んで、賓客(ヒンキャク)を招致して士人にへりくだり、
【名声が実力を上まわり】、周昌(シュウショウ:趙の宰相)に疑われた。
すると、欠点が次から次へとあらわになり、禍が身に及ぶことを懼(おそ)れた。
このとき、よこしまな人物の進言があり、その進言を受け入れたために、ついに
無道(道徳にそむく悪業)におちいった。
ああ、悲しいことだ。そもそも、計が成熟しているか未熟なのか、成功するか失敗するかの、
人に及ぼす影響は深甚(シンジン)である。
陳豨の最後は
劉邦の12年冬(B.C.196年)樊噲(ハンカイ)の軍卒が追撃して
陳豨を霊丘(レイキュウ:山西省)で斬った。
で終わっています。