【道もて揆(はか)り、法もて守る】と読みまして、道理に基づいて判断し、法規を守ること、と言う意味ですが『孟子』の中では、現代風に言いますと、為政者と国民の在り方を言ったものです。
出典は『孟子』離婁(リロウ)上篇です。
是以惟仁者宜在高位、
是(こ)の以(ゆえ)に惟(ただ)仁者のみ宜しく高位に在るべし。
仁者だけが為政の場にいるべきであり。
不仁而在高位、是播其惡於衆也、
不仁にして高位に在るは、是れ其の悪を衆に播(ま)くなり。
不仁の者が為政にいるならば、害悪を天下にまき散らすようなものだ。
上無道揆也、
上(かみ)に道もて揆(はか)ることなく、
すなわち、為政者は規準を以って判断することなく、
下無法守也、
下(しも)に法もて守ることなく、
国民もそんな者の作った法律など守ることもなく、
朝不信道、工不信度
朝(チョウ:為政者)は道を信ぜず、工(國民)は度(のり:法規)を信ぜず
公務員たちは道義を信じることもできず、国民までが法規を信じなくなる。
君子犯義、小人犯刑、
君子は義を犯し、小人は刑を犯して、
立派な大人は正義を犯し、そうでない大人に至っては犯罪に走る。
國之所存者幸也、
国の存する所(あ)る者は幸なり。
それでもなお、国が亡びないでいるのは、さいわいなことだ。