【衆口(シュウコウ)金を鑠(と)かし、積毀(セキキ)骨を銷(けず))る。】と読みます。
小さなものでも、たくさん集まれば大きな力となるたとえです。
【衆口】、【積毀】は、それぞれ「多くの人々の言うこと」、「多数の悪口」の意で、多数意見や皆からの批判が、大きな影響力を有する、ということです。
出典は『史記』張儀傳です。
遊説家の張儀が魏の哀王に、合従の盟約に背いて、秦と和睦すべきことを進言したことを記した一文です。
臣聞之
臣之を聞く
私は、こう聞いております、
積羽沈舟、羣輕折軸、
積羽舟を沈め、羣輕軸を折り、
軽い羽根でも積み重ねれば船を沈め、軽い物でも集めて載せれば車の軸を折り、
衆口鑠金、積毀銷骨。
衆口金を鑠かし、積毀骨を銷る、と。
衆人の口にかかれば硬い金も鑠け、非難を受けることが重なれば骨まで消滅する
故願大王審定計議。
故に願はくは大王計議(ケイギ)を審定(シンテイ)し。
(合従説もしばしばお耳にされますと、尤もだとお感じになられるかも知れませんから)
どうか、大王にはよくご調査の上、計策(はかりごと)をお定めください。
且賜骸骨辟魏。
且らく骸骨を賜りて、魏を辟(さ)らんと。
私はしばらくお暇を戴いて、魏を去りたいと存じます。