決断して実行すれば鬼神も恐れて避ける、ということで決意を固めることを促す言葉です。
出典は『史記』李斯列伝です。
秦の始皇帝の死後、宦官(カンガン)の趙高(チョウコウ)が陰謀を画策し、始皇帝の次男(胡亥:コガイ)を唆し長男(扶蘇:フソ)を殺させて帝位につかせました。
この決断を迫った時の言葉が、【断じて敢行すれば、鬼神も之を避く】です。
私はこう聞いています。
湯王、武王は主君を殺しましたが、天下の人は、これを義とし、不忠とはしなかった。
衛君は父を殺しましたが、衛の民はその德を戴き、孔子も『春秋』に記録して、
不幸とはしませんでした。
そもそも、『大事を行うものは小義をかえりみず、盛徳あるものは辞譲せず』とか。
村里にもそれぞれ特長があり、百官も任務を同じくしないのです。
ですから小事に拘って大事を忘れるなら、後に必ず害があり、
狐疑してぐずぐずすれば、後に必ず悔いがあります。
断而敢行、鬼神避之。
断じて敢行(カンコウ)すれば、鬼神も之を避け。
断固たる決意をもって行動すれば、鬼神でさえ道をよけ
後有成功。願子遂之。
後に成功有り。願はくは子之を遂げよ。
後に成功があります。どうか遂行なさってください。
斷じて敢行をすすめた趙高は、始皇帝の孫で、扶蘇の長男、子嬰(シエイ)によって刺殺されました。