自分に人から慕われる德があるか、また人を動かす力量があるかを考えて行動をする事を
表した言葉です。
要するに、おのれの身の程を知りなさいということです。
【度】を、「タク」と読むのは「はかる」というときです。
「ド」と読むのは「ものさし」とか「めもり」、「わたる」などの意味の時です。
おのれの身の程を知らずに戦いに挑み、結果国が滅びてしまった実例が、
『春秋左氏伝』隱公十一年の出来事として記載があります。
鄭・息有違言。
鄭・息違言有り。
鄭と息の二國で言い争いをした。
息侯伐鄭。鄭伯與戰于竟。息師大敗而還。
息侯鄭(テイ)を伐つ。鄭伯與に竟に戰う。息の師大いに敗れて還る。
息侯は鄭を伐った。鄭伯はこれと國境で戰った。息の軍隊が大敗して 國に帰った。
君子是以知息之將亡也。
君子是を以て息の將に亡びんとするを知れり。
このことから諸侯たちは、息の國がやがて滅亡することを知った。
①不度德、。
德を度らず。
息は相手の立派な德を考えず、
②不量力、
力を量らず、
自国の力の弱いこともみきわめず、
③不親親、
親を親とせず、
(同姓で親しむべき間柄にある鄭と)親しまず、
④不徴辭、
辭を徴さず、
言葉の是非を明らかにせず、
⑤不察有罪、
有罪を察せず、
そのいずれが罪あるかを深く考えず、
犯五不韙、而以伐人。
五つの不韙(フイ)を犯して、以て人を伐つ
以上の五つの不正を犯しながら他国に攻め入った。
其喪師也、不亦宜乎。
其の師を喪えるや、亦宜ならずや。
息の軍隊が大敗したのは、当然のことである。