すべて事は、盛んになればやがて衰える、栄枯盛衰は世の習い、という意味です。
出典は『戰國策』秦策です。
紀元前三世紀、戦国時代の中国、秦という国でのこと。
遊説の士でのち秦の宰相になった蔡沢(サイタク)が、時の宰相范雎(ハンショ)に会って、暗に引退を進めたときに述べました。
語曰、日中則移、
語に曰く、日(ひ)中(チュウ)すれば則ち移つり、
昔から言われていますが、日が南中した後は移り、
月滿則虧。
月(つき)満(み)つれば則ち虧(か)く、と。
月は満つれば虧け。
物盛則衰、
物(もの)盛んなれば則ち衰うるは、
物さかんなれば衰えるのは、
天地之常數也。
天地の常数(ジョウスウ)なり。
天地の不変の数(さだ)めである。
進退盈縮、
進退(シンタイ)盈縮(エイシュク)、
あるいは進み、あるいは退き、伸びてあまりあればちぢめて、
與時變化。
時と変化す。
時をみて変化するのは、
聖人之常道也。
聖人の常道(ジョウドウ)なり。
聖人の不変の道である。