腹を立てて人に八つ当たりすることはしませんし、同じ過ちを二度と繰り返すようなことはありません。ということで、孔子が弟子の顔回の事を言った文章です。
『論語』雍也篇を出典としています。
哀公問、弟子孰爲好學。
哀公(アイコウ)問う、弟子孰(だれ)か学を好むと為(な)す。
魯の哀公が、弟子の中では誰が一番学問好きですか、と尋ねました。
孔子對曰、有顏回者好學。
孔子対えて曰く、顔回なる者有り、学を好めり。
孔子が答えて言いました、顔回という者がおりまして、学問好きでありました。
不遷怒、不貳過。
怒りを遷(うつ)さず、過ちを弐(ふたた)びせず。
この者は、腹を立てても八つ当たりすることはしませんし、
同じ過ちを二度と繰り返すようなことはしませんでした。
不幸短命死矣、
不幸短命にして死せり、
ところが、不幸にも短命でなくなりまして、
今也則亡。
今や則(すなわ)ち亡(な)し。
今はもうこの世にはおりません。
未聞好學者也。
未(いま)だ学を好む者を聞かざるなり。
この者以外に学問を好む者はまだ見当たりません、と答えた。