他の人の態度や言動をよく見て、自分に当てはめて反省し、戒めとすること、という意味です。
出典は『唐書』魏徴傳です。
唐の魏徴(ギチョウ)は、王朝の創業に尽くし、その直言は太宗(李世民:リセイミン)も恐れたそうです。
太宗は朝廷で、次のように言いました。
以銅爲鑑、可正衣冠。
銅を以て鑑と爲さば、衣冠を正すべし。
銅を鑑とすれば、衣服や冠を正すことができる。
以古爲鑑、可知興替。
古を以て鑑と為さば、興替を知るべし。
過去の歴史を鑑とすれば、興亡の跡を知ることができる。
以人爲鑑、可明得失。
人を以て鑑と為さば、得失を明らかにすべし。
人を鏡とすれば、言動の得失について明らかにすることができる。
朕嘗保此三鑑、内防己過。
朕、嘗(かっ)て此の三鑑を保ち、内に己の過ちを防ぐ。
私は今までこの三つの鏡を持っており、自身で戒めとしてきた。
今、魏徴逝、一鑑亡矣。
今、魏徴逝き、一鑑亡(うしな)う、と。
しかし今は魏徴が逝(ゆ)き、鏡を一つ失ってしまった。