二つのもののうち、どちらが優れているか、簡単には決められないことを指す成語、【兄(ケイ)たり難く、弟(テイ)たり難し】は、以下の話を出典としています。『世説新語』德行篇です。
陳元方子長文、有英才。
陳元方の子の長文、英才有り。
陳元方の息子の長文(チョウブン)は、傑出した才能の持ち主でした。
與季方子孝先、各論其父功德。
季方の子の孝先と、各おの其の父の功德を論ず。
(長文は)季方の息子の孝先(コウセン)と、めいめいの父親の功績・德行について
どちらが優れているか論争をしました。
爭之不能決、咨於太丘。
之を爭いて決する能わず、太丘(タイキュウ)に咨(はか)る。
決着がつかないので、(陳元方と季方の父である)太丘にたずねました。
太丘曰、元方難爲兄、季方難爲弟。
太丘曰く、元方は兄爲り難く、季方は弟爲り難し、と。
太丘が言いました、元方は兄たりがたく、季方は弟たりがたし、というところだな。