いくら困っていても、人に怪しまれるようなことはしない。また、わずかな悪事にも身を近づけないし、染めることはしないということを表す四字熟語です。
【悪木】は、役に立たない木。また、人を傷つけたり悪臭のする木をいいます。
【盗泉】は、山東省泗水(シスイ)県にあった(ある?)泉の名前です。今もそんな名前の泉が有るのか
無いのか、少し調べてみたのですが、分りませんでした。
孔子が山東省を旅行していたとき、この「盗泉」のそばを通りかかりました。
孔子は喉がからからに渇いていましたが、「盗泉」という名を嫌い、名前だけでも
身が汚れると、言ってその水を飲まなかったという故事があります。
【悪木盗泉】は、晉の陸機(士衡:シエイは字)の「猛虎行:モウココウ」と題する20句の詩の1句目、2句目に出ています。
1句目 渇不飲盗泉水
渇しても盗泉の水を飲まず
のどが渇いても盗泉という悪い名のついた泉の水は飲まない
2句目 熱不息悪木陰
熱するも悪木の陰に息わず
暑くても悪木という悪い名のついた木の陰では休息しない
3句目 悪木豈無枝
悪木あに枝無からんや
悪い木だからと言って、枝がないわけではないのだが
4句目 志士多苦心
志士は苦心多し。
志のある士は苦心することが多いのである。
「猛虎行」は、高い志を持つ者は、世間になかなか受け入れられず、苦しむことが多いという感慨を
詠んだ詩です。