美人を熱烈に好むようにする者を見たことがない、という意味ですが、『論語』のなかでは、例え話に使われています。出典は『論語』子罕第九です。
子曰、
子日く、
孔子が言いました、
吾未見好徳如好色者也。
吾未だ徳を好むこと、色を好むが如くする者を見ざるなり。
私はまだ徳を好むこと、美人を熱烈に好むようにする者を見たことがない。
孔子は色ごとに関してそれほど野暮なことは言ってません。色ごとに関して、論語には他に
三箇所記述があります、
憲問第十四、
子曰、賢者避世、其次避地。其次避色。其次避言。子曰、作者七人矣。
子日く、賢者は世を避く。其の次は地を避く。其の次は色を避く。その次は言を避く。
孔子が言いました、賢者が仕えずに避け遠ざかる場合が四つある、
一つは、隠退する。
二つは、亡命する。
三つは、禁欲する。
四つは、沈黙する。
衛霊公第十五
子曰、已矣乎。吾未見好徳、如好色者也。
子日く、やんぬるかな、吾未だ徳を好むこと、色を好むが如くする者を見ざるなり。
孔子が言いました、どうにも手の施しようがないかな、
私はまだ徳を好むこと、美人を熱烈に好むようにする者を見たことがない。
李氏第十六
孔子曰、君子有三戒。少之時、血気未定、戒之在色。
孔子日く、君子に三戒有り。少(わか)き時は血気未だ定まらず、之を戒むること色に在り。
孔子が言いました、君達がこれからの人生で自戒しなければならんことが三つある。
(そのうちの一つ)青年期は血気が定まらぬ時で、情が激しく、なかんずく、
男女の色情について十分戒めなくてはならない。