金・銀に比べると、価値の低い鉄ではあるけれど、その中ではよい音がすると言う意味です。
そこから、平凡な人の中では少しはすぐれた者だと、言うのが本来の意味です。
いまは【ソウソウたる顔ぶれ】などと言いますと、『すぐれた顔ぶれ』と言う意味で使われています。
【鉄中錚々】は『後漢書』・劉盆子(リュウボンシ)伝と「十八史略」東漢(=後漢)篇に出ています。
後漢(A.D.25~A.D.220)の初代皇帝となる光武帝(劉秀)が統一に向けての戰に明け暮れしていた時の
出来事です。
前漢・六代景帝の子孫劉盆子を皇帝にしようとして起こった
『赤眉(セキビ:他軍と区別するため眉を赤く塗った)の乱』でしたが、劉秀に平定されました。
降服した赤眉の残兵十余万を待っていた時、降将の樊崇(ハンシュウ)が肌脱ぎとなり、劉盆子を伴って
降参してきました。
『わが軍の実情を見て、降服したことを後悔しているのではないか。どうだ、もう一戰に及ぶか』
「とんでもございません。糊口を脱して慈母の懐(ふところ)に戻ってきた思いでございます」
劉秀は、やや嘲(あざけ)りを漂わせた面持ちで
卿所謂鉄中錚錚、傭中佼佼者也。
卿(ケイ)は所謂(いわゆる)鉄中の錚錚、傭中(ヨウチュウ)の佼佼(コウコウ)たる者也
そなた等は、鉄の中ではなかなか良い音のする鉄だ。凡人の中ではまあ、ましな方だ。
「錚々」という言葉が【鉄中の錚々】から出た言葉だと考えると、褒められたのか馬鹿にされたのか
ちょっと判断に迷ってしまいますね。
11月8日は『鞴(ふいご)祭り』です。鍛冶屋さん・鋳物師さんなど鞴を使う方々が行う祭りです。
【鉄】や【火】に絡んだお祭りとして、結構あちこちで行われているようです。
【いい刃(は)】という語呂合わせで『刃物の日』でもあるそうです。
『3大学設置 認めず』、『大学設置の新たな基準で「再審査」を行う』などと仰る、
本来の意味での【錚々】たる、お大臣様。