天上においては、二羽で一体となって飛ぶという比翼の鳥となりたい。
地上においては、日本の木が一つに合体しているという連理の枝になりたい。
夫婦の情愛がきわめて深く、永遠に離れないことに言います。
中唐の詩人白居易が「長恨歌:チョウゴンカ」において、玄宗皇帝(在位712~756)と楊貴妃が七夕の夜に長生殿で誓い合った言葉として歌った詩句です。「長恨歌」は七言×120句の構成です。
113 臨別殷勤重寄詞
別れに臨んで殷勤(インギン)に重ねて詞(ことば)を寄す
別れに臨んで心をこめて、使者にことばを託し
114 詞中有誓両心知
詞(ことば)の中に誓い有り 両心のみ知る
その中に二人のみ知る誓いのことば。
115 七月七日長生殿
七月七日長生殿
七月七日、長生殿、
116 夜半無人私語時
夜半人無く私語の時
夜半に二人だけ、ことばを交わす
117 在天願作比翼鳥
天に在りては願はくは比翼(ヒヨク)の鳥と作(な)らん
天にあっては比翼の鳥に
118 在地願為連理枝
地に在りては願はくは連理の枝と為(な)らんと
地にあっては連理の枝に
119 天長地久有時尽
天長く地久しきも 時有りて尽くるも
天は長く地は久しきも 時有ってか尽きん、
120 此恨綿綿無絶期
此の恨みは綿綿として絶ゆる期(とき)無からん
この恨み綿々と、絶えること無し。