【柱(ことじ)に膠(にかわ)して瑟(シツ)を鼓(コ)す】は、琴柱(ことじ)を膠づけにして瑟をひくことを言います。
琴柱は、瑟や琴の胴の上に立てて弦をささえ、移動させて音の高低を調節する道具です。
これを膠づけにすれば音調を変化させることができません。融通の利かないことのたとえに使われる言葉です。出典は『史記』藺相如(リンショウジョ)傳です。
藺相如曰、
藺相如曰く、
重臣の藺相如が言いました、
王以名使括。
王は名を以(もっ)て括(カツ)を使う。
王が名声によって括を使うのは。
若膠柱而鼓瑟耳。
柱に膠して瑟を鼓するがごときのみ。
琴柱(ことじ)を膠づけにして瑟を彈ずるようなものです。
括徒能讀其父書傳。
括(かつ)は徒(た)だに能(よ)く其(そ)の父(ちち)の書伝(しょでん)を読(よ)むのみ。
括は単に父の兵法書を読んだだけで、
不知合變也。
変(ヘン)に合うを知らざるなり、と。
臨機応変の処置を知りません。
趙王不聽。
趙王(チョウオウ)聴かず。
趙王は聴き入れないで、
遂將之。
遂(つい)に之(これ)を将(しょう)とす。
ついに括を将軍とした。