七十二候の一つで、秋分の次候にあたり、9月28日~10月2日に相当します。春から夏に活動していた虫たちが、冬眠するために掘った穴に入り、その穴を塞(ふさ)ぐという意味です。
来春の、『啓蟄』の初候にあたる【蟄虫啓戸:チッチュウケイコ】まで、虫達は巣ごもりとなります。実際にはもう少し寒くなってからです。
また、秋分の初候は、もう過ぎてしまいましたが
【雷乃収声:雷乃(すなは)ち声を収(おさ)む】でした
末候は、10月3日~10月7日の「水始涸:水始めて涸(か)るる」となります。
【蟄】は、執(音符号)+虫 から作られた形声文字です。
意味は 「かくれる。冬ごもりする」です。
【虫】は、「蟲」が正字体です。虫(キ)が三つ集まった形の会意文字です。
「蟲」は昆虫のように密集する小さな「むし」をいいます。
「虫」は本来、「へび」など爬虫類を表わす象形文字でした。
特に「まむし」を表わしていたとも言われています。
【坏】は、土+不(音符号) から作られた形声文字です。「不」は、ふくらむという意味を
持っていることから、「おか:丘」が原義です。のち塞ぐ、埋めるの意味でも使われる
ようになりました。
日本では「つき」「かわらけ」の意味で使われます。
食べ物を盛る脚付きの台を「たかつき」と言います。漢字表記は「高坏:たかつき」です。
【戸】は、片開きの扉の形から作られた象形文字です。
神を祭る神棚の片開きの扉の形です。両開きの扉の形が「門」です。
【蟄虫坏戸】は、「貞享(ジョウキョウ)暦」からの呼び名ですが、元となった中国の宣明暦でも「蟄虫坏戸」と呼ばれています。