驚き、恐れ、恥じらいのために、顔から血の気がなくなり、真っ青になること。
唐の玄宗皇帝(在位、713年~755年)に愛された楊貴妃の前では、宮中の美女たちも【顏色無し】でした。
白居易の『長恨歌』の一句に詠われています。
『長恨歌』は、全部で120句あります。8句目が【六宮(リクキュウ)の粉黛(フンタイ)顔色無し】です。
1漢皇重色思傾国
漢皇(カンコウ)色を重んじて傾国(ケイコク)を思ふ
漢の皇帝、女好き 国を亡ぼす美女が好き
2御宇多年求不得
御宇(ギョウ)多年求むれども得ず
長年 美女を探せども そうは問屋が卸さない
3楊家有女初長成
楊家(ヨウカ)に女(むすめ)有り初めて長成す
楊家の女(むすめ)お年頃
4養在深閨人未識
養われて深閨(シンケイ)に在り人未(いま)だ識(し)らず
大事に大事に育てられ 知られぬほどの美女となり
5天生麗質難自棄
天生の麗質自(みずか)ら棄て難く
生まれついての麗しさ 埋もれることの無くもがな
6一朝選在君王側
一朝(イッチョウ)選ばれて君王の側(かたわら)に在り
ある日突然選ばれて 王の御側に召されたり
7迴眸一笑百媚生
眸(ひとみ)を迴(めぐ)らして一笑すれば百媚(ヒャクビ)生じ
瞳をひとたび廻らせば 艶めかしさに満ち溢れ
8六宮粉黛無顔色
六宮(リクキュウ)の粉黛(フンタイ)顔色無し
宮中の美女たち 青ざめた。