読書する時に必要なな三つの条件を言った四字熟語です。
【到】は、極めること。やるときは徹底してやるという意味です。
南宋の大儒学者・朱熹(シュキ)の言葉です。朱熹は、中国・南宋の思想家で、その敬称が『朱子』です。日本では「朱子学」として知られています。
余、嘗(かっ)て謂(おもへ)らく、読書に三到有り。
1)心到(シントウ) 心を集中して読むこと
2)眼到(ガントウ) 目でよく見ること
3)口到(コウトウ) 声に出して読むこと
このあと
「三到の中に、心到最も急なり。心既に到らば、眼・口豈(あ)に到らざらんや」
とありまして、
「三到の中で一番大事なのは『心到』です。心を集中して読むと、眼到、口到はついてくる」
という意味で語られています。
今日 11月1日は「古典の日」です。今年、平成24年に法律として決まったばかりの記念日です。
11月1日が『古典の日』に決まった経緯(いきさつ)は、
『源氏物語』の作者紫式部の『紫式部日記』の寛弘5年(1008年)11月1日のところに、『源氏物語』に関連したことが、史上はじめて記載されたことに由ります。
左衛門督(さえもんのかみ)、「あなかしこ、このわたりに若紫やさぶらふ。」と、うかがひたまふ。
左衛門督(藤原公任:きんとう)が、「失礼ですが、このあたりに、若紫さんはいらっしゃい
ますか」と、お探しになる。
源氏に似るべき人も見えたまはぬに、
光源氏に似ていそうな人も、お見えにならないのに、
かの上はまいていかでものしたまはむと、聞きゐたり。
あの紫の上が、ましてここにいらっしゃろうか、と聞き流していた。
「若紫」は巻名です。源氏物語で最大のヒロインが「紫の上」です。「紫の上」はこの「若紫」の巻から登場します。
「紫式部」は、お父さんの姓が「藤原」で、官職が「式部丞(しきぶのじょう)」でしたので、「藤式部」と呼ばれていましたが、「源氏物語」の評判が高まり、その中のヒロイン「紫の上」にちなんで「紫式部」と呼ばれるようになりました。
記述の日から千年目に当たる2008年(平成20年)の前年、2007年(平成19年)1月に京都府などを中心に立ち上げられた「源氏物語千年紀委員会」が11月1日を「古典の日」とすることを提案しました。
今年3月に超党派の「『古典の日』推進議員連盟」が国の制定する記念日として法案を議員立法し、9月5日に『古典の日に関する法律』として公布、施行されました。
残念ながら「休日」にはなりませんでした。