驚き、恐れ、恥じらいのため、顔から血色がなくなること。
白居易の『長恨歌』8句目に、【六宮(リッキュウ)の粉黛(フンタイ)顏色無し】とあります。
楊貴妃の美しさに宮中の美女たちも【顏色無し】の状態でした。
1) 漢王重色思傾國
漢王色を重んじ傾國を思ふ、
漢の皇帝は絶世の美女を望む
2) 禦宇多年求不得
禦宇(ギョウ)多年求むれども得ず
長年にわたり求めていたが得られなかった。
3) 楊家有女初長成
楊家(ヨウカ)に女有り初めて長成す
楊家に一人前になる娘がいた
4) 養在深閨人未識
養はれて深閨(シンケイ)に在り人未だ識らず
深窓の令嬢として育てられ、誰にも知られていない
5) 天生麗質難自棄
天生の麗質自ら棄て難く
生まれつきの美しさは、埋もれさせておくことはできず
6) 一朝選在君王側
一朝選ばれて君王の側に在り
ある日選ばれて、皇帝のそばに召された
7) 回眸一笑百媚生
眸を回せて一笑すれば百媚生じ
視線をめぐらせて微笑めば、そのあでやかさは限りない
8) 六宮粉黛無顏色
六宮の粉黛顏色無し
宮中の女官たち、顔色真っ青。