いろんな妖怪が夜、ぞろぞろと歩きまわることを表した四字熟語です。
【鬼】は音読み「キ」です。漢字の「鬼」の意味は、人が死ぬと「人鬼:ジンキ」になると考えられ、その形が象形文字としての「鬼」となりました。そこから死者の霊魂を指すようにもなりました。ですから、人が亡くなることを鬼籍(キセキ)に入るというのである。
日本では、源順(みなもとのしたごう)が著した最初の辞書『倭名類聚鈔:ワミョウルイジュウショウ』で、「鬼ハ物ニ隠(かく)レテ顕(あら)ハルルコトヲ欲セザル故ニ、俗ニ呼ビテ隠(オン)ト云フナリ」、と説明しています。
それで、「鬼(キ)」と書いて「オニ」と読むのは、隠(オン)という字音が変化したものと思われます。
日本の「鬼:おに」が、角をはやし虎の皮のパンツをはいているのは、陰陽道から来ていまして、丑寅(うしとら:北東)の方に鬼の居場所があるということから、牛の角をはやし虎の皮のパンツをはいた鬼のイメージができあがったと言われています。
【百鬼夜行】の言葉は、四鏡(大鏡・今鏡・水鏡・増鏡)の一つ『大鏡』の右大臣(藤原)師輔(もろすけ)の話として出てきます。
この九条殿は、百鬼夜行(ヒヤクキヤギヤウ)にあはせ給(たま)へる。
この九条殿は百鬼夜行にお会いになったのですよ。
いづれの月といふことは、え承(うけたまは)らず、いみじう夜(よ)ふけて、
いずれの月ということは、伺っておりませんが、たいそう夜も更けて、
内(うち)より出(い)で給(たま)ふ。
内裏よりご退出なさいました。
この時の【百鬼】は蘇我入鹿を先頭に、蘇我馬子、蘇我倉山田石川麻呂、山背(やましろ)大兄王、大津皇子、山辺(やまのべ)皇女(ひめみこ)など藤原氏に怨みを以て死んだ者たちの行列だそうです。
10月31日 欧米では、「ハロウィン」です。
もともとは2000年以上前のケルト人の宗教的行事で祖先の霊を祀る行事だったようで、それが後になってキリスト教に取り入れられるようになったそうです。
11月1日を「諸聖人の日(万聖節)」としていますが、「ハロウィン」はその前夜にあたることから、後に「諸聖人の日」の旧称「All Hallows」の「eve:前夜」、Hallows-eveが訛って、Halloweenと呼ばれるようになったそうです。