始めのうちは弱々しく見せかけるが、後には見違えるほどの力を発揮することのたとえです。
出典は『孫子』九地篇です。
敵人開闔、必亟入之。
敵人開闔(カイコウ)すれば、必ず亟(すみや)かに之に入り、
敵側が不意を突かれて防衛線に間隙を生じたならば、
必ずそこから迅速に侵入し、
先其所愛、微與之期、
其の愛する所を先にして、微(ひそ)かに之と期し、
敵国が是非とも防衛したがる地点に先制の偽装攻撃をかけ
踐墨隨敵、以決戰事。
践墨(センボク)して敵に随い、以て戦事を決す。
全軍おし黙ったまま敵軍の進撃路に調子を合わせて進み、
予定通りに敵軍を補足して会戦に入り、一挙に戦争の勝敗を決するのである。
是故始如處女、
是の故に始めは処女の如く、
こうしたわけで、最初のうちは乙女のようにしおらしく控えていて、
敵人開戸、
敵人戸を開き、
いざ敵側が侵入口を開けたとたん、
後如脱兎、敵不及拒。
後には脱兎の如くにして、敵拒(ふせ)ぐに及ばず。
後は追っ手を逃れる兎のように一目散に敵国の懐深く進攻してしまえば、
もはや敵は防ぎようがないのである。
No. 236 【処女脱兎】 http://fukushima-net.com/sites/meigen/285