何事もすべて休止する。全ての物事(万事)が動きを停止することを言います。
転じて、どうにも施すすべがない、どんな手段も通じなくなった。万策尽き果てたことを言います。
中唐の詩人白居易が、年老いた身は、酒に酔うと心が満ち足りて何の欲望もなくなってしまい、
身の回りのすべての物事が休止してしまったように感じられる、と映じた詩句に基づいています。
五言×24句からなる『老熱の詩』の2句目に、一酣萬事休 の形で詠われています。
1 一飽百情足、 一飽すれば百情に足り、
腹いっぱいになると、あらゆる感情が満たされ
2 一酣萬事休。 一酣すれば萬事休す。
楽しく飲めば、全ての事はそれで終わり。
「万事休す」を「万事窮す」とするのは間違いだそうです。
白居易の詩 以外にも「万事休す」の言葉は使われています。
「宋史」荊南高氏世家にも用例があります。
荊南(中国10世紀、五代十国の一つ)の王子の保勗(ホウキョク)は幼時から甘やかされて育ち、
人が怒ってにらんでもにっこり笑うような子だったので、荊南の人々はこれを見て、
「万事休す」と思ったそうです。