間違いを間違いと認めず、押し通すこと。また威圧的に間違いを押し付ける意味も持ってます。
『史記・秦始皇本紀』に、宦官(カンガン)趙高(チョウコウ)と二世皇帝胡亥(コガイ)との会話として記載があります。
始皇帝に仕えていた趙高は、権力欲の塊のような人物です。胡亥は二世皇帝でまだ若く、しかも、趙高は胡亥の教師でもあったので、胡亥は趙高に頭があがりませんでした。
八月己亥(キガイ)の日、以前から謀反を起こそうと考えていた趙高(チョウコウ)は、群臣がおのれの
意に従わないのではないかと心配して、験(ため)してみようと思い、
鹿を二世皇帝に献じて言いました。
馬也
馬なり、と
これは馬です。
二世笑曰
二世笑いて曰く
皇帝は笑って言いました。
丞相誤邪。謂鹿爲馬
丞相誤れるか。鹿を謂ひて馬と爲す。
丞相(ジョウショウ)は何を言っているのだ、鹿を指して馬だといったりして。
問左右、
左右に問ふに
そして左右の者に尋ねました
左右或默、或言馬、以阿順趙高。
左右或いは默し、或いは馬と言ひ、以って趙高に阿順す。
ある者は沈黙して答えません、ある者は馬といい、趙高に阿(おもね)る者もありました。
中には鹿と答えた者も居ましたが、趙高はこれを刑法にあてはめて罪に陥れました。
これより後、群臣の誰もが趙高を恐れるようになりました。
これが「馬鹿」の語源です、と言う人もいますが、正しくはありません。
「馬鹿」をバカと言うのは、日本だけです。「鹿」を「か」と読むのは訓読みです、音読みは「ロク」です。
サンスクリット語で「無知」を表す「バカ」と言う言葉が語源のようです。それを漢字表記すると「莫迦」となりまして、「馬鹿」は日本での当て字と言われています。