春の日にふと感じる愁(うれ)いと、秋のもの寂しい思いを言った四字熟語です。
よい気候のなかで、なんとなく気がふさぐこと。
またいつも心のどこかで悲しみや悩みを感じていること、を表しています。
【春愁】、【秋思】はそれぞれ単独で漢詩・唐詩によく取り入れられています。
【春愁秋思】の四字熟語としては、白居易の『陵園妾(リョウエンのショウ)』という詩の中に出てきます。
7言×30句の詩です。
「陵園」と言いますのは、天子のお墓です。
天子のお側に仕えていた女性が、心ない人の讒言で、一生お墓のそばの家に幽閉されることになってしまいました。
幽閉されている宮女を憐れんで白居易が詠った詩です。
【春愁秋思】はその詩の5句目に出ています。
4句目)年月多く、時光(ジコウ)換(かは)る、
(一たび陵墓に仕えるようになってから)余程の歳月を経た
5句目)春愁(シュンシュウ)秋思(シュウシ)知る 何ぞ限らん。
(その間)春の愁(うれ)い、秋の思が限りなく積もって、
6句目)靑絲(セイシ)髪落ちて 叢鬢(ソウビン)疎(まばら)に、
緑の黒髪も抜けて薄くなり、
7句目)紅玉の膚銷(き)えて繋裙(ケイクン:腰の裳)縵(ゆる)し
玉の肌も痩せて帯がゆるくなった