都合の良いように無理に理屈をこじつけることを表す四字熟語です。
【牽】は、「牛+玄」から出来た会意文字です。
玄は「つな」の形。牛に「つな」をつけて牽(ひ)いていくことを表している字です。
【強】は、「弘+虫」から出来た会意文字です。
「弘」は弓の弦(つる)を外した形で、「ム」が外した弦です。
「虫」はテグスガからできた天蚕(テグス)を表しています。
弦がほかの物で作った弦より丈夫な、テグスを使っているから「つよい」の意味になりました。
【牽強】は道理に合わないことを無理矢理、こじつけることです。
【附】は、「阝+付」から出来た形声文字です。原義は「つく」です。
「阝」は神が天に陟(のぼ)り降(お)りするときに使う梯子の形です。
附は神の陟(のぼ)り降(お)りする聖所に附け加えるの意味で、神と合わせて
祭ることを言います。
「付」は、「人+寸(手]」から出来た会意文字です。原義は「あたえる」です。
「付」は、人に手(寸)でものを渡す形で、「わたす、あたえる、つけたす」の意味が、
もともとの意味です。
【会(會)】は、蓋のある鍋の形を文字化した象形文字です。
上部は蓋の形、
真ん中は食物を煮炊きする鍋の形、
下の日の部分はその台座の形です。
鍋に蓋をして煮炊きしている状態を表しています。 いろいろな食材を集めて
ごった煮のようなものを作っているので、「あつめる、あつまる、あう」の意味となりました。
【附会】は、バラバラな物をまとめること、また関係ない物を無理に、こじつけてまとめるの意味です。
芥川龍之介の小説『地獄変』の第五章で【牽強附会】が使われています。
私どもの眼から見ますと、大殿様が良秀の娘を御下げにならなかつたのは、全く娘の身の上を
哀れに思召したからで、あのやうに頑(かたくな)な親の側へやるよりは御邸に置いて、
何の不自由なく暮させてやらうと云ふ難有(ありがた)い御考へだつたやうでございます。
それは元より気立ての優しいあの娘を、御贔屓になつたのには間違ひございません。が、
色を御好みになつたと申しますのは、恐らく【牽強附会】の説でございませう。いや、
跡方もない嘘と申した方が、宜しい位でございます。