兄弟は、家の中で互いに争って喧嘩することもあるが、外部からの侮辱を受けるようなことがあれば、
心を一つにして、その侮辱を防ぐために助け合うものだ、と言う意味です。出典は『詩経』小雅(ショウガ)・常棣(ジョウテイ)です。
【鬩:ゲキ】は、鬥(部首)+兒(音符号) から作られた形声文字です。
鬥は、「たたかいがまえ」という部首名を持っていまして、戦(戰)う・争(爭)うの意味を含む文字が
所属しています。
もとは鬥部の文字でしたが、門(もんがまえ)の字にされてしまった字があります。
「闘」です。ですから「闘」の正字体は「鬪」です。
【牆:ショウ】は、爿(部首)+嗇(音符号) から作られた形声文字です。
爿は、「ショウへん」という部首名を持っていまして、木を二つに割った左半分の形です。
右半分が「片:かたへん」です。
爿部に所属する文字は、「牀」、「牆」です。
【鬩牆】は、牆(かき)に鬩(せめ)ぐ。同じかきの中(敷地の中、家の中)の者同士が争うことです。
脊令在原 兄弟急難
脊令(セキレイ)原に在り 兄弟難を急にす
鶺鴒は、今原野にあって雌雄が(艱難を共にして)いる。
(そのように)兄弟は危急の難儀のある時(は互いに助け合うべきである)。
每有良朋 況也永歎
良朋(リョウホウ)有(あ)りと毎(いへど)も、況(ここ)に永(なが)く歎く
良い友達があっても、(危急の場合には、ただ同情する言葉で)長く嘆息するだけだ。
兄弟鬩于牆
兄弟牆(かき)に鬩(せめ)げども、
兄弟は、家の中で互いに争って喧嘩することもあるが、
外禦其務
外(そと) 其(そ)の務(あなど)りを禦(ふせ)ぐ
外部からの侮辱を受けるようなことがあれば、
心を一つにして、その侮辱を防ぐ」ために助け合うものだ