春の到来を告げる鶯が、美しい鳴き声を響かせるころで、七十二候のうち第2候です。
二十四節気「立春」のなかの次候にあたり、今年は2月8日~2月12日が『うぐいす鳴く』に相当します。
今年は124年ぶりに立春が2月3日になりました。
立春の中の候を漢語表記しますと次のようになります。
初候は 「東風解凍:トウフウカイトウ。はるかぜ氷を解く」、 2月3日~7日
次侯は 「黄鶯睍睆:コウオウケンカン。うぐいす鳴く」、 2月8日~12日
末候は 「魚上氷:うお氷を出(いず)る」、 2月13日~17日
次候の【黄鶯睍睆】は「鶯が山里で鳴き始める」という意味です。
【黄鶯】は、スズメ目コウライウグイス科の鳥で、オスは全身が黄色い羽毛で覆われ、メスは羽毛が
緑がかった黄色の羽毛で覆われていまして、別名チョウセンウグイス。
日本ではめったに見られません。日本にいるウグイスは、スズメ目ウグイス科ウグイス属です。
【睍】は、目+見から作られた形声文字です。
①目が飛び出ている。②チラッと見る。③うるわしい、の意味があります。
【睆】は、目+完から作られた形声文字です。
①大きな目。②目のでているさま。③明らかなさま。④美しいさま、の意味があります。
【睍睆:ケンカン】と熟語になりますと、声の美しい様子を表す畳韻(ジョウイン)の擬態語です。
『詩経』邶風(ハイフウ)・凱風(ガイフウ)に【睍睆黄鳥:ケンカンコウチョウ】とでています。
睍睆黃鳥、載好其音
睍睆(ケンカン)たる黄鳥(コウチョウ)、載(すなは)ち其の音(ね)を好(よく)す
美しい声で鳴くうぐいす。ほんとうによい声で鳴いている。
【黄鳥】も【黄鶯】と同じくコウライウグイスのことです。
因みに「ホーホケキョ」と鳴くのはオスです。
「ホーホケキョ」と囀るのを初めて聞いた日を『ウグイスの初鳴日』といいます。
「サクラの開花」や「カエデの紅葉」と同じように、生物の動向で季節の移り変わりを調べる方法
『生物季節観測』に使われています。
鳴き始める季節が早春であることから春告鳥(はるつげどり)の別名があります。ウグイスもホトトギスほどではありませんが、いろんな呼び方があります。
春鳥(はるどり)、花見鳥(はなみどり)、歌詠鳥(うたよみどり)、経読鳥(きょうよみどり)、
匂鳥(においどり)、百千鳥(ももちどり)、黄鳥(コウチョウ)。
などです。