自然の景色を愛でる言葉です。春になって、柳は緑になり、花は紅に咲くという、春の美しい景色を言います。
【柳は緑になり、花は紅になる】というのは、春の景色として特段珍しいことではなく、ごくごく当たり前のことであることから
① 人手を加えていない自然のままの美しさ。
② 柳が緑で、花が紅というありのままの姿こそが、悟りの境地である。
というそれぞれの解釈があります。
とくに②は禪宗のほうで取り上げられています。
目前に法無し、さもあらばあれ、柳は緑、華が紅
すべて、あるがまま 自然のままに受け入れる心にこそ悟りの境地がある
という一文があるそうです。
花と柳をあわせて遊里を表わす「花柳」という言葉はこの【柳は緑、花は紅】から生まれました。
自然の美しさを詠った詩句として『五灯会元:ゴトウエゲン』にでています
偈曰
偈(ゲ:仏をほめたたえた文章)に曰く
偈にいうように
龝至山寒水冷
秋至れば、山寒く水冷ややかに
秋になれば、山は寒くなり、川の水は冷たくなる
春來柳緑花紅
春来たれば、柳は緑花は紅
春が来ると、柳は緑に花は紅になる
一點動隨萬變
一点動きて万変随ひ
瞬く間に、春一色
江村煙雨濛濛
江村煙雨濛濛(モウモウ)たり
川沿いの村、濛々とけぶる雨