多くの人々を汎(ひろ)く公平に愛し、また博(ひろ)く恩恵を施すこと、を表す四字熟語です。
【汎】は、「氵+凡」からできた形声文字です。音符号の「凡:ハン」は風の甲骨文字の音符号に
   用いられていまして、風を受けて流れることを汎といいます。「うく、ただよう」の意味から
   派生的に「ひろい、あまねし」の意味にも使われます。
【愛】は、「旡+夂+心」を組み合わせて出来た会意文字です。
   後ろを顧みてたたずむ人の形である「旡(後ろを向いている人の形)+夂(足を表しています)」の
   胸のあたりに、心臓の形である心を加えた形。それが「愛」の字になりました。
   立ち去ろうとして後に心がひかれる人の姿であり、その心情を「愛」といい、
   「いつくしむ」の意味となりました。
【博】は、「十+尃」からできた形声文字です。音符号の「尃」に「ひろい、おおいに」の意味があり、
   「博」は「ひろい、ひろめる、おおきい、おおい」の意味に用いられるようになりました。、
【施】は、「+也」からできた形声文字です。音符号の「也」に弛(シ)のように「シ」の音があります。
   「」は旗が風にはためいている形です。旗をなびかせて軍に指揮し、軍を動かすことを
   「施」といいます。施(うつ)るという読み方がありまして、施るようにとの命令を与えることを
   「ほどこす」というようです。
【汎愛博施】は、【汎愛】が『論語』学而(ガクジ)篇に、【博施】が雍也(ヨウヤ)篇にでています。
【汎愛】の根拠
  子曰く、弟子(テイシ)、入りては則ち孝、出でては則ち弟、謹みて信あり、
    若者よ。家庭では父母に対しては子供らしく振る舞い、世間に出ては目上の人にたいして、
    おとなしく素直でありたい。何事にも愼んで誠実に行動し、
  【汎(ひろ)く衆を愛し】て仁に親しみ、
    だれかれの分け隔てなく広く人を愛し、特に仁徳のある人に親しみなさい。
  行いて余力あれば則ち以て文を学ぶ。
    そうして、まだ余力があったら教養を高めるようにしなさい。
【博施】の根拠
  子貢曰く、如(も)し能く【博(ひろ)く民に施し】て能く衆を済(すく)わば、何如(いかん)。
    子貢が、もし人民にひろく恩恵を施し、多くの人が救えるというのなら、いかがでしょう
  仁と謂うべきか。
    仁といえましょうか。
  子曰く、何ぞ仁を事とせん。必らずや聖か。
    先生が言いました。それが出来れば、仁どころではない。強いて言えば聖人だね。
10月9日の新聞トップは『山中教授ノーベル賞』受賞決定でした。
『人為的に多能性を持たせた幹細胞』を作りだすことに成功したこと、に対してでした。













 
 

















