財産や地位ははかなく頼りにならない、浮雲のようなものだという四字熟語です。
【富】は、「宀+畐(フク)」からできた形声文字です。「畐」は酒樽のような器で「みちる、みたす」の
意味があります。宀がついて、神への供え物が多いことをいう字として作られました。
【貴】は、「+貝」を組み合わせた会意文字です。「」は左右の手を合わせた形。「貴」は貝を
両手で捧げ持つ形で、貴重なものとして扱うという意味を示します。
【浮】は、「氵+孚(フ)」からできた形声文字です。「孚」は子の上に手(爫)を加えた字で、
氵と合わせて水中で溺れている子を上から救おうとしている形で、
「うく、うかぶ、ただよう」の意味に用いられています。
【雲】は、「雨+云(ウン)」からできた形声文字です。「云」は龍が「くも」の中に潜り込む様子を
表していまして、「云」が「くも」の元の字でした。のちに雨を加えて「雲」の字になりました。
【富貴浮雲】は『論語:述而第七篇』にでています。
子曰く、疏食(そし)を飯(くら)ひ、水を飲み、
先生が言われた、粗末な飯を食べて水を飲み、
肱(ひじ)を曲げて之(これ)を枕とす。
腕を曲げて、それを枕にする。
楽しみも亦(また)其の中(うち)に在(あ)り。
(道に志す本当の)楽しみはやはりその中にあるものだ。
不義にして富み且つ貴(とうと)きは、
不正不義をして得た財産や身分などは、
我に於て浮雲(ふうん)の如とし。
私にとっては浮雲のように、はかなく無縁のものなのだ。
【不義にして富み且つ貴きは、我に於いて浮雲の如し】は
千古の名言と言われています。